裁定取引を理解するには、まず「信用取引」の仕組みを理解する必要があります。信用取引のことがよく分からないという方は、まずは株の参考書なんかで信用取引の仕組みを理解しておいてください。
裁定取引を行うにあたって、まず理解していただきたいものに、連動性が高い2つの銘柄を同時に売買する(買いと売りを同時に行う)というものがあります。
これはどういうものなのかと言いますと、この手法を説明するにあたって、よく取り上げられる「9984:ソフトバンク」「4689:ヤフー」を例に説明してみたいと思います。
まずは下のチャートをご覧下さい。(チャートを閉じる時はチャート画面上の右上の「×」ボタンをクリックして下さい。)
2006年
2007年
2008年
これらのチャートは各年の1月1日時点での株価を100としたら、その後12月31日までにどのように推移したのかを示したものです。両銘柄を比較すると価格差(サヤ)が縮小と拡大を繰り返しながら、結局は似たようなトレンドになっていることが分かると思います。なぜこのような動きになるのかというと、両者は資本関係が密接なため、ソフトバンクが下落するとヤフーも下落するといったことが起こりやすいのです。
そこで例えば、価格差が広がった2007年上旬に「ソフトバンク:売り」「ヤフー:買い」を同時に同じ金額で行います。その後価格差が縮まった2007年下旬に決済すれば、その差が利益となるのです。
例えば価格差が広がったと見られる時点での株価が「ソフトバンク20万円」、「ヤフー5万円」だとすと、ソフトバンクを1株売って、ヤフーを4株買います。その後「ソフトバンク15万円」「ヤフー4万円」に下がってしまったとしても両者の価格差は縮小しているので、そこで決済した場合
ソフトバンク 20万→15万 5万の利益
ヤフー 4×5万→4×4万 4万の損失
となりまして、合計で1万円の利益を得たことになります。
このように連動性の高い2銘柄を選んで、両者を比較して、価格差が広がったなと思ったら割安な方を買って、割高な方を売る、価格差が縮小してきたなと思ったら両者を決済するといった、価格差のみに注目したトレード方法を2つの銘柄を同時にトレードすることから、「ペアトレード(サヤ取り)」と呼ばれています。
しかし、この手法は決してローリスクというわけではありません。といいますのも、仮に過去数年間同じトレンドを形成していたとしても、全く同じ会社というわけではないので、価格差が広がったと思って売買したが、「一方の会社のみに影響を与える大きなニュースが出た」、「資本関連の変化があった」等により、どんどん差が拡大し続けて、その後全く縮小しなくなり、損をすることもあるのです。「ソフトバンク」「ヤフー」も、全く違った動きをしたこともあります。売買する前や売買後も常に、なぜ今価格差が広がっているのか?を調べ、時には損切りも必要となってきます。何も材料がないのに価格差が広がっていればチャンスとなりますが、1ペアのみで売買するのは非常に危険です。通常は複数のペアで取引して、1つのペアがダメでも他で挽回するといった状況を作っておくことが大切です。
また「信用売り」をするということは、金利(貸株料)等の支払い、逆日歩発生の可能性もあります。「一般信用売り」が可能であれば「一般信用で売る」という手もありますが、制度信用よりも金利(貸株料)が高くなります。買いの銘柄に常に逆日歩が発生しているようでしたら、「信用買い」で逆日歩をもらうという手もありますが、逆日歩が発生したり、しなかったりと不安定になりますと、結局金利の負担が重くなります。金利は証券会社によって異なります。取引するときは、信用取引や現引き等をうまく使いながら、なるべく費用のかからない証券会社を利用するようにしましょう。
費用を考えればあまり魅力のない投資方法となりますが、あくまで「ETF、先物、CFD、FX」での投資方法を説明するうえでの土台として、この投資方法を理解しておいてください。